夢コンの舞台裏 :フレーマー / Tools 横浜ジョイナス店 店長 野村優治さん


かながわ夢絵コンテストのオリジナル商品「フレーミングサービス」を手掛けていただいているフレーマーの方にお話を伺ってきました。

 お話を聞いた人:トゥールズ 横浜ジョイナス店 店長 野村 優治 さん
(インタビュー・文:木村 汐里/横浜保育福祉専門学校 写真:島 舞咲/横浜保育福祉専門学校 )

作品の魅力を引き出し、暮らしにフィットするフレーミングを

―トゥールズ横浜ジョイナス店には、「フレーマー」という職人さんがいるそうですが、どのようなお仕事をされているのですか?

お客さまがお持ちになった絵に額縁(フレーム)をデザインするお仕事です。どんなフレームがいいか、約1,500~1,700種類もあるサンプルを使いながらコーディネートしていくのですが、手掛けていくうえで大切にしている2つのポイントがあります。まず一つ目が主役である作品をいかに魅力的にみせるかをよく考えること。そしてもう一つが、お客さまに合うデザインを提案していくということ。フレーミングを依頼された方の好みやこだわりを理解するだけでなく、実際に額縁を飾るお部屋の大きさやインテリアなど、目の前にはない情報を聞き出して、最適な提案をしていかなければなりません。

実は、フレーマーの資格そのものは通信教育でも取得できますし、デザイン力や手先の器用さもあまり関係がありません。ですが、この“お客さま自身の中にある隠れたニーズ”を聞き出すことができる優れたインタビュアーであることが求められます。これこそがフレーマーに最も必要な能力といえます。

 

―フレーミングをすると、どのように絵が変わってきますか?

接客をしていて思うのですが、絵をお持ちになったお客さま自身でもまだその絵の良さをわかってないということが多いです。なぜなら多くの人は、絵を2次元のデータ、パソコンなどでみる平面の画像と同じだと思っているからです。しかし、額縁に入れることでそれは立体になります。平面から立体の情報になることで、改めて絵の持つ魅力がわかるんです。自分の描いた作品を改めて見る面白さを知って、楽しんでいただけると思います。

年齢なんて関係ない!絵を描く人は、みんなアーティスト

―夢絵コンテストのオリジナルフレームには、どのようなこだわりがありますか。

フレーミングされた夢絵を見て、作品を描いたお子さんが「わぁ、自分はこんなに良い絵を描いたんだ!」と、感じてもらえるようにしたいと思っています。そのための提案として、オリジナルのダブルマットを用いたフレームを作りました。四角、楕円、飾りの3つを組み合わせてデザインされたマットを、作品に合う色のカラーマットとコーディネートします。うちのお店にはデザインマットをカットする機械があるので、“描いた人の気持ちがあがるデザイン”というのを意識しながら、何度も試作を重ねてこのデザインが完成しました。細かい部分のカットは機械がなかなかいうことを聞いてくれず、苦労しましたけれどね(苦笑)

 

  

 

また、気軽にフレーミングを体験していただきたくて、コストパフォーマンスの高いフレームを厳選。ご家庭のインテリアやお好みにあわせて色や素材もお選びいただけるようにバリエーションもご用意しました。

 

―お子さんたちへのメッセージをお願いします。

夢絵コンテストの作品は技術的に優れた作品が多く、毎年楽しく拝見させていただいています。様々な画材をつかって懸命に描かれている様子も伺えて、私が小学生の頃はこんなにいろんな画材を使える機会がなかったので、とても羨ましく思います。だからこそぜひ、鉛筆の正しい持ち方、絵具や筆の使い方など、道具の基本的な使い方も子どものうちに身につけてほしいと思います。それは良い絵を描くためだけのことではなく、あなたの人生を豊かにする技術だと思うから。

 

 

実は、現代人は手先が不器用になっているといわれています。何でも手作業しなければならなかった昔の生活に比べて、現在は自分の手を動かさなくてもできることが確かに増えていますよね。でも絵を描くことは、今も昔も変わらず自分の手を動かさなければなりません。大人だとか、子どもだとか、年齢なんて関係なくて、絵を描く人はみんなアーティスト。だからこそ「子どもだから好きなようにやればいい」という意見に甘えず、画家の人と同じ使い方、正しい使い方をきちんと覚えて、その上で自由に手を動かしてほしいなと思うんです。

どうぞ、目の前にある画用紙に、自分の描きたいものを自分の手で、思いっきり描いてください!

―本日は貴重なお話をありがとうございました。