へんてこアーティスト図鑑 02:ジョルジュ・スーラ


round_sanoshokoみなさん、はじめまして!「へんてこアーティスト図鑑」にようこそ!
この「へんてこアーティスト図鑑」は、美術大学+かながわ夢絵コンテスト出身の佐野がお送りする、アーティスト紹介のコラムです。アーティストに敬愛の意を込めながら、「わぁー!へんてこ!」なポイントを紹介したいと思っています。

文・絵:佐野 笑子(東京造形大学 大学院)


今回紹介するアーティストは、ジョルジュ・スーラ。
彼は、点で絵を描くアーティストです!

点で絵を描くことを「点描(てんびょう)」というのですが、この独特な描き方はどのようにして確立されたのでしょうか?描き方を紐解いていくと、スーラは「画家」と「科学者」の二つの顔をもっていたことが判明します!

ジョルジュ・スーラってどんな人?

スーラは、1859年フランスのパリで生まれました。裕福な家庭に生まれたため、31歳の若さで早世するまでひたすら絵を描き続けることができました。その数、油彩約60点・油彩下絵約170点・素描約230点。

合計約460点の作品を残したのですが、ここで、ミニへんてこポイントがあります。それは、自画像をひとつも残していないこと!スーラは、自分のことをあまり語りたがりませんでした。自分の内面や感情を徹底して表に出さない性格だったのでしょう。その様子から、周りの人には、「穏やかで無口な人だなァ。」なんて思われていたそうです。

スーラの作品ってどんな作品?

さて、そんなスーラの代表的な作品、「グランド・ジャット島の日曜日の午後」の作品を見てみましょう。

これは、縦205.5㎝、横306㎝と大きな作品です。

この作品は、夏の日曜日の昼に、さまざまな年齢・職業・階級の人びとがグランド・ジャット島に集まっているところを描いています。その数、約40人。しかし、これほどたくさんの人物が描かれていても、どこかさびしさを感じる絵の静けさがあります。それは、「画家」という視点だけでなく、「科学者」としての視点も持ち合わせていたスーラだからこそ描くことのできる静けさでした。

「画家」と「科学者」の二つの顔をもつスーラ

「科学者」としてのスーラが誕生したのには、スーラの育った時代に関係します。というのも、当時は科学や産業技術がめざましく発達した時代で、人びとは科学こそ未来を照らす光だと信じていました。スーラもその一人で、色彩の科学を絵画に応用する方法を熱心に研究したのです。この研究の末、スーラは「点描」という方法にたどり着きました。

点描とは、絵具を混ぜ合わせずに、キャンヴァスの上に直接、たんねんに点を並べるように置いてゆくことです。例えば、オレンジ色を表したいときは、赤の点と黄の点を交互に配置します。こうして最終的に、たくさんの点が画面全体に並べられたときに、絵を見る人の目の中で色が混ざって見える「視覚混合」という理論をスーラは実践させたのです!こうして、スーラは、絵と科学という、一見結びつかなさそうなものを、「点描」という方法で見事に融合させました。

本能と理性のバランス

機械で描いたの?と無邪気に思ってしまう人もいたほど、理性的に忍耐強く、規則的に原色の点で画面を埋めていったスーラ。

本能と理性のバランスのとり方、スーラの絵画から学んでいきたいですね!